活動ノート

2023年 ひまわりプロジェクト

2023年は地元の住民さんとの交流機会も増えたり、畑の土も昨年よりもふかふかに耕したり、昨年はひまわりの育ちが悪かったので、その反省を踏まえて取組みました。ひまわりプロジェクトはブログでも紹介していますが、活動ノートにもまとめます。

4月 土づくり

三陸町越喜来泊地区の休耕田をお借りしてひまわりプロジェクトに取組みました。
昨年は土づくりを丁寧にしなかったためか、雑草の勢いに押されて生育が悪かった反省を踏まえ、トラクターで2回耕しました。雑草の根っこもボランティアさんたちと這いつくばるように掘り返してふかふかにしました。

今年は昨年より1.5倍の広さにひまわりが育つ予定です。

5月 種まき準備

種蒔き前の準備は草取り、土の消毒(消石灰)と元肥(カルシウム、マグネシウム)を散布しました。
5月の中旬に種蒔き、残った種はプランターに蒔いて苗に育て、不測の事態?用と欲しい人たちに配ることにしました。

地域の住民さんへの協力要請を区長さんを通じて回覧板でお願いしたら畑周辺の草刈り、草取りにたくさんの住民さんが参加してくれました。

6月 害獣ネットを張る

このあたりは鹿の生息の北限の地と言われています(近年は北限がさらに北に移動したようです)東日本大震災で沿岸集落が消滅してしまい、耕作地も放置されたままの地域が多く点在しています。鹿などの野生動物は震災後に山から下りて人間が住まなくなった里には美味しい餌(農作物)があるのを覚えてしまい、人間にとっての「害獣」が増えています。

鹿はひまわりの新芽だけをきれいに食べてしまいます。
害獣ネットを畑の周囲に張り巡らせて、鹿に食べられてしまった苗と育ちの悪い苗はプランターで育てた苗と植え替えました。

丈夫に育って欲しいと願うばかりです。

東日本大震災・復興まつり2023 (Ver.1)

今年も東日本大震災・復興まつり2023(主催:生活クラブ神奈川)がやってきます。
きょうせい大船渡は初めて参加します。参加にあたって復興まつり実行委員会さまより現地報告の時間を設けていただきました。大震災から10年以上経過した今も、東日本の被災地へ思いを届けて下さるみなさまへ現地・大船渡の現状と今後の取り組みをお伝えした内容を掲載します。

被災世帯等に対するパーソナル支援についてです。

2011年3月11日の東日本大震災を機に公益財団法人共生地域創造財団として、避難所への救援物資配布が始まりでした。
2012年から2年間にわたり在宅被災世帯への生活物資支援と現状調査を行い、2014年は仮設住宅にて訪問調査と生活再建の目途が立たず、将来の見通しが困難な世帯に対し解決課題型の支援を行いました。
2018年から災害公営住宅の全戸訪問を実施。災害公営住宅におけるアウトリーチ活動の土台を作りました。2021年は長期化するコロナ渦で収束が見えない不安の中、訪問先世帯のみなさんが自粛生活中に作った手芸品を持ち寄り展覧会を開催してみたら好ましい評価を得ました。

時間の経過とともに被災地は大きく変化しています。課題解決型支援はもとより、地域の人や制度など資源を活用した地域連携型の支援が求められるようになり官民協働で生活相談や生活再建にあたっています。


2022年の春に共生地域創造財団から独立し、NPO法人きょうせい大船渡となりました。独立と言っても活動の内容はそれほど変化はありません。(活動を継承した感じです)

  1. 被災世帯の見守り・生活相談
    在宅被災者、公営住宅被災者の見守り訪問と生活相談、必要に応じた専門相談との協働
  2. サロン・居場所・生活相談の場所づくり
    きょうせい大船渡の事務所はみなさんが立ち寄りやすい駅通りにあり、気軽に来所できます。高齢独居の人たちとランチ会や手芸の好きな人たちが集まって手芸サロン。コロナ渦では自粛中のフレイル予防を兼ねて、少人数のお出かけサロンなども行っています。
  3. 制度の狭間(介護サービス等)にいる人への生活支援
    高齢化に伴い自動車免許返納率が高く、交通の便も悪くタクシー代が片道4,000円以上かかるところもあり、市街地から遠い公営住宅に暮らす年金生活者にとっては負担が大きく通院、買い物などのへの通院同行や送迎を行っています。
    フードバンクを利用した(一時的な)食料支援
  4. 助成金を活用したり寄付金を募ってきょうせい大船渡独自の支援
    サロン等交流機会創出への送迎(無償)
    高齢独居の人たちとお食事会を開催、孤食の軽減
    地元の人たちと休耕地でひまわりを育て、福島に種を送るひまわりプロジェクト(NPO法人シャローム)に参加しています。
    公益財団法人共生地域創造財団と災害支援を協働で行う(最近では秋田豪雨災害など)

    東日本大震災から12年が経過し、訪問世帯の高齢化率は80%を超えてしまいました。高齢独居世帯も60%となってしまいました。独り暮らしや健康状態が思わしくない人、暮らし向きの苦しい人は日ごろの会話が少なく、友人、近隣の付き合いがなく困ったときに頼れる人がいない人が多いです。
    「支える人・支えられる人」という一方的な関係ではなく「相互に支え合う」関係性と多くの世代が集える「居場所」を地域にたくさん作りたいです。
    わたし達が目指すは孤立・孤独死を生まない、「おたがいさま」と言える共生地域の創造です。
    以上が、被災世帯等に対するパーソナル支援活動です。

災害公営住宅のコミュニティ支援についてです。

災害公営住宅に入居して近所や地域の人と関わる機会について、震災前と後では「減った:42.5%」「増えた:10.2%」で減ったが約4倍以上となりました。
一方、震災前から同じ地区に住む同士の入居者の割合が高い災害公営住宅では「減った」と「増えた」が17.1%と同数で、災害公営住宅への入居の際、震災前のコミュニティを維持する大切さが改めて示されたと考えます。
大震災から12年余が経過し、インフラは震災前以上に整備されましたが、人間関係の希薄さが目立ちます。
一方、災害公営住宅や地域の人との関りについて「望む」程度を尋ねると「声を掛けられたら関わる」33.8%、日常生活の中で地域や人の役に立つことをしたいが「時間や機会がない」23.9%というのがあり、切っ掛け次第で交流が広がる可能性も見えて来たということでしょうか。

さて、みなさんは岩手県は北国で冬はとても寒いと思っているかも知れませんね。
神奈川のみなさんを目の前にしておこがましいのですが、大船渡市、陸前高田市は「岩手の湘南」と呼ばれるほどに温暖な地です。
陸前高田市の高田松原は、震災前は白砂青松と言われるほど風光明媚な景勝地でした。
大震災で7万本の松が消失し、唯一残った「奇跡の一本松」は世界的にも話題になりました。

諸説ありますが、当地は柚、お茶、椿(太平洋側)の「北限の地」と言われます。
柚は古くから庭先に当たり前のように植えられていました。地域の産物という意識は低く、ましてや「北限」の産物であるなど思ってもいないことでした。震災を機に外部の支援により柚が持つポテンシャルに特産品としての認識が高まり始めています。
復興まつりでは柚商品を販売します。柚を通して人とのつながりが増え、それが地域づくりへと続き、柚を中心にして輪が広がることを願っていますし、微力ながらこれからも関わっていくのだと思います。

いま関わり合っている人たち、これから新しく出会う人たちと共に「おたがいさま」と言える地域づくりを目指して、地域の人たちと考えたり、連携したりしながら、誰もが安心・安全に暮らせる社会の創造を!

原稿:村上・岩脇
復興まつり2023 

被災地(大船渡)ツアーのための視察会

東日本大震災から12年経った今も被災地を訪れたり応援してくださる人たちと被災地の人たちが交流できる被災地応援ツアーを公益財団法人共生地域創造財団様と計画しています。

被災地を訪問する人、被災地に暮らしている人、双方が交流することで友好関係を築いたり、新たな気づきが生まれるような語りの場があり、そこでは老若男女が防災のことやそれぞれがやりたいこと、将来の夢などを手作りの三陸の旨いものを囲みながら出来ないものかと被災者のみなさん、共生地域創造財団、きょうせい大船渡で被災地視察や試食会を行いました。

きょうせいサロン会のみなさんと一緒に今が旬のタラのあら汁と早採れワカメのしゃぶしゃぶを作りました。

コロナ渦で客人を招く機会もなかったので久しぶりの客人にスタッフも張り切ってます!^^

好評だったのが早採れワカメ!湯がくと一瞬できれいな緑色になるワカメに驚きと感動!食して磯の香に包まれて!

手作りのランチを囲んで震災当時の話などが出ました。被災地を応援してくれる人にとって被災地で直接聞くことが出来ることはとても貴重なことなのだそうです。

震災を乗り越えてきた「ド根性ポプラ」。震災以前のポプラの周囲は住宅地だったので、あまり目立たない存在でしたが、震災で周囲の住宅が流出して以来、震災を乗り越えたシンボルとなっています。

地元の人でもド根性ポプラの存在を知らない人が多いようです。視察会に参加して知ることが出来たと語り、参加者で記念撮影しました。今回の視察会はまだ改善する余地がある印象でした。頑張りましょう!

2022年 ひまわりプロジェクト

ひまわりプロジェクトに参加しています。昨年までは公益財団法人共生地域創造財団・大船渡事務所として参加していましたが、今年は独立して「NPO法人きょうせい大船渡」として参加しました。今後も継続していきたいと思っています。

4月~5月初旬

東日本大震災で被災し耕作されないまま休耕田になってしまった土地(岩手県大船渡市三陸町越喜来泊地区)にひまわりを植えて、地元の人や近くを走る三陸鉄道の乗客が眺めながら可愛いひまわりに癒されたり、喜んでもらいたくてひまわり畑をつくることにしました。
嬉しかったのは周辺住民さんから「一緒にやりたい」と声をかけていただき、その後はたくさんの協力をいただくことになりました!

5月初旬、住民さんとスタッフ、トラクターの助っ人もあり、荒れ地の枯草やゴミ拾いをしてある程度整えたらトラクターで土を掘り起こします。

  • 耕作面積:約330㎡(100坪)
  • 畝幅:40㎝、株幅60㎝の間隔で4㎝穴に2~4粒の種まきをする。

簡易的な種まきでしたが、発芽し順調に大きくなってきたと喜んだもの束の間、鹿が新芽を食べてしまう被害が出たため防獣ネットを設置。

6月~7月

大船渡市では6月に市内一斉清掃が行われます。
一斉清掃終了後に住民さん(15名)がひまわり畑の草取りと草刈作業、苗の間引き作業をしました。
間引いた苗は発芽していない畝に移植して、あとは住民さんの自宅のお庭で育ててもらうことにしました。

その後も草刈り機を持参した住民さんに何度か草刈り作業をしてもらいました。
夏場の雑草の勢いはすごいのですが、心なしかひまわりに勢いが感じられません。

8月~9月

8月は見守り訪問に伺っている高齢独居の方々と草取りやひまわり畑の中でサロン開催をしようと計画してましたが、天候不順と猛暑続きでひまわりを眺める程度しかできませんでしたが、コロナ渦も相まって外出機会が少ない高齢者の方々には久しぶりの外出でした。
ひまわりを眺めた帰り道でラーメンをすすって、目にもお腹にもいい日だったと話してくれました。

今年はひまわりの花が咲くのが早かったのですが、8月の天候不順続きで、咲き終えてタネができるまでの間に花の腐食が進んでしまい大急ぎで収穫し、乾燥させたのですが芳しくない状態でした。
タネの収穫もサロンに参加している人たちと一緒にひまわり畑の周りでお茶会をしながらやろうと思っていましたが、天候不順に振り回されて計画通りにはならず残念でした。

9月は住民さんのお庭のひまわりの種も収穫しました。

10月

ひまわりのタネを乾燥しながら、畑に巡らした防獣ネットの取り外し、枯れたひまわりを引っこ抜いたりと後片付けを行いました。次はタネの選別と混入しているゴミとり作業です。
結果、収量は1.5㎏でした。前回の3分の1の収量です。
少ない収量でしたが、NPO法人シャロームさんへ送り今年のひまわりプロジェクトは終了しました。

リフレクション

今年は新たな土地で雑草など簡単な除去作業のみで始まったひまわり畑つくりと発芽してから天候不順が続いたせいか、大輪の花を咲かせるまでに育ったひまわりはひとつもなかったし、タネも前回の3分の1の収量で終わった。
高齢独居や見守り訪問世帯の人たちと畑作業やひまわりの周りでサロンをやりたかったが諸事情で思うようには出来なかった。周辺地域の人や三陸鉄道の乗客へもひまわりの感動を届けることが出来なかったのかも…

来年は種まき前の雑草除去作業や肥料なども必要量用意しながら、ひまわり畑の管理もこまめにやっていこう。
畑の作業を楽しみにしていた高齢者の方もいたので、ぜひ参加してもらえるよう計画しよう。
今年は新たな地域住民さんたちとの出会いがあり、嬉しいことに「来年もやりたい」と申し出がありました。
みんなの手でひまわりを育て、周辺住民さん、三陸鉄道の乗客が黄色い花を眺めてスカーッとした気分になり、福島の人たちともつながりを深めながら、ひまわりの花と種で誰かがささやかでも幸せになれるよう頑張ろう!